スケルトンという考え方
オープンとスケルトンを使い分けませんか?
コンクリートで固められたエクステリアって本当にお客様の為なのでしょうか?
最近の建売り物件ではこのように建物と道路の間を全てコンクリートで固められてしまった現場を見ることがあります。
現在、エクステリアのスタイルは「オープン」「セミオープン」「クローズ」と大まかに分類していますが、それからするとこの現場は「オープン」という事になりますね。
でも本当にこれをオープンと呼んで良いのでしょうか?
敷地内は全てコンクリートで固められていて、玄関も道路から丸見えです。
ここに住む人が小さな花壇を作りたいと思っても土間コンクリートの解体作業から始めなくてはいけません。それは素人の方では無理なことです。
弊社では「オープン」の定義を
1.誰もが自由に敷地内に出入り出来るようあえて塀や扉を設けないスタイルでありながら、適度な植栽や草花でファサード(道路に面している部分)に緑量をしっかり確保しているもの。
2.人の動線や視線を意識して計画的にデザインされたもの。
としています。
ではなぜこの様な住む人を無視したような無機質な施工がされてしまうのでしょうか?
住宅の売り主側に聞けば「外回りに余計な費用は掛けられない」という答えが返ってきます。
なるほど!確かに土地と建物を出来るだけ安く販売したいと思うのは当然ですね。
ならば逆に生活に最低限必要な部分だけ作っておいて、後は入居された方が少しずつでも良いから花を植えるとか、樹木を増やすとか、照明を追加出来るとか楽しめる部分を残しておいてあげたらいいんじゃないかって思うんです。
そんなことを言うと売り主さんは「土が見えると見栄えが悪い」とか「売れ残ると草が生えて管理が大変」などと言われますが、土の上に化粧砂利を敷いておけばいいじゃないですか〜!
低予算と言いながら車のタイヤが乗らない所や人が歩かない所まで全てコンクリートで固めてしまうことは、かえって余計なコストを掛けていると思うのです。これって矛盾していますよね?
そこでなんですけど・・・・そろそろ
低予算=全部コンクリート
という発想をやめて
低予算=住む方が後で自由にアレンジ出来るように最低限の下地だけ作る
という考え方でいきませんか?ポイントは
これは完成形ではなく最低限の下地として考える
そこに住む御家族が好みや予算に合わせて将来アレンジ出来る余地を残す
既存のものを壊すことなくリフォームできる配慮がされている
ということです。
そういう意味では今回の写真の事例はスケルトン以前の「no style」にしなくてはいけませんね。
このニュアンスって言葉ではうまく伝えにくいと思ったのでイメージを作ってみました。
■no style
後からお客様がアレンジする場合とても大変です。
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■スケルトン
必要最小限の下地だけ作り出来るだけ余地(土)を残しています。
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■オープン
緑量が多く開放的なプランですがこちらの場合は玄関が丸見えになっています。
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■セミオープン
玄関前に大きさの違う2枚の壁を立て玄関ドアを少し隠しているので落ち着いた雰囲気になります。
いかがですか?「スケルトン」という考え方。
立場が違えばそれぞれ言い分も違うと思いますが、少なくても我々エクステリアの設計施工を専門とする人間はしっかりとしたポリシーを持って、予算が無いなら無いなりにベストなプランを考えて差し上げたいと思うんです。